夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「コーヒー&シガレッツ」:ケイト・ブランシェットの一人二役が凄い!

「コーヒー&シガレッツ」(原題:Coffee and Cigarettes)は、2003年公開のアメリカのオムニバス映画です。監督・脚本はジム・ジャームッシュ。 映像は全てモノクロで、1986年撮影の「変な出会い」以降、17年間に渡ってジャームッシュ監督が断片的に撮ってきた11の作品からなる小品集です。それぞれの物語に具体的な繋がりはありませんが、俳優の名前そのままの登場人物がコーヒー(紅茶)を飲み、煙草を吸いながら、様々な会話をしている点が共通しています。

 

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各編のタイトルと出演者は、

1.「変な出会い」:ロベルト・ベニーニ、スティーヴン・ライト

2.「双子」:ジョイ・リー、サンキ・リー、スティーヴ・ブシェミ

3.「カリフォルニアのどこかで」:イギー・ポップトム・ウェイツ

4.「それは命取り」:ジョー・リガーノ、ヴィニー・ヴェラ、ヴィニー・ヴェラ・Jr

5.「ルネ」:ルネ・フレンチ、E・J・ロドリゲス

6.「問題なし」:アレックス・デスカス、イザック・ド・バンコレ

7.「いとこ同士」:ケイト・ブランシェット

8.「ジャック、メグにテスラコイルを見せる」:メグ・ホワイト、ジャック・ホワイト

9.「いとこ同士?」:アルフレッド・モリーナ、スティーヴ・クーガン

10.「幻覚」(DELIRIUM):GZA、RZA、ビル・マーレイ

11.「シャンパン」:ビル・ライス、テイラー・ミード

 

各編とも、それぞれの味があるのですが、驚きは 7.「いとこ同士」:ケイト・ブランシェット。いとこ同士をケイト・ブランシェット一人二役で演じているのですが、全く違う人に見えます。まさに女優の女優たる所以を見るような気がします。因みに、監督のジム・ジャームッシュは、ケイト・ブランシェットが容姿やキャラクター等、十分に役作りに専念できるようにと、日を分けて撮影しています。

 

7.「いとこ同士」:ケイト・ブランシェット〜「コーヒー&シガレッツ

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2.の「双子」、5.の「ルネ」、9.の「いとこ同士?」も面白かったです。

 

10.「幻覚」のビル・マーレイを主演に迎え、ジム・ジャームッシュ監督が監督した「ブロークン・フラワーズ 」もなかなかの作品です。さえない中年男がかつてのガールフレンド4人を訪ね歩くという大変な映画ですが、やはり会話が鍵となる作品です。

 

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余談ですが、ジム・ジャームッシュと縁はなかったものの、煙草が似合う俳優といったらやっぱりこの人でしょう。

 

クリント・イーストウッドの喫煙シーン〜「荒野の1ドル銀貨」

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これはシガレット(紙巻き)ではなく、シガー(葉巻)です。クリント・イーストウッドは健康に気をつけていて、撮影で必要なとき以外は煙草を吸わないそうですが、映画では格好よく吸えてしまうのですから、さすが名俳優ですね。

 

こちらの方は、紙巻きを格好良く吸っています。

 

ロバート・デ・ニーロの喫煙シーン

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アメリカでは2007年から、性描写、暴力描写、ひわいな言語使用に加え、喫煙シーンも映画の自主規制コード審査対象に含められています。そんな背景もあり、映画の喫煙シーンはどんどん減っています。昔の映画をみるとガンガン煙草を吸っているので、逆にびっくりするくらいです。そのうち、煙草は西部劇の遺物になってしまうかもしれません。

 

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