夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「告発の行方」:レイプ問題を社会に訴える勇気ある挑戦

告発の行方」(原題:The Accused)は、1988年公開のアメリカ映画です。監督はジョナサン・カプラン、出演はジョディ・フォスター(サラ・トビアス)、ケリー・マクギリス(キャサリン・マーフィー)ほか。1983年にマサチューセッツ州ニュー・ベッドフォードで起きた実際のレイプ事件に基づいた映画です。

 

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【あらすじ】

場末の酒場で起きた複数の男によるレイプ事件。勝ち目がないと言われながらも、裁判を引き受けた女性検事補キャサリン・マーフィー(ケリー・マクギリス)は調査を開始しますが、被害者の女性サラ・トビアスジョディ・フォスター)は酒に酔っており、被告側の男たちは和姦を主張していました。やがて原告がマリファナを服用していた事が発覚、裁判は絶対不利となっていきます……。

 

現代アメリカで避けて通れない犯罪、レイプについて真っ向から挑んだ意欲作です。ピンボール台の上に寝かされ、代わる代わる男たちに犯される被害者の女性サラ・トビアスを熱演したジョディ・フォスターは、1983年度のアカデミー主演女優賞を受賞しました。今日でもなお、インパクトの強い演技です。

 

脚本のサラの部分は、アンディ・マクドゥウェルを想定して書かれており、彼女が第一選択でした。デミ・ムーアブルック・シールズジェニファー・コネリーデブラ・ウィンガー他も考えられましたが、いずれも辞退となりました。他にもメグ・ライアン、ジェニファー・ビールズ、ウマ・サルマン、マドンナ、ダイアン・レインブリジット・フォンダ、マリエル・ヘミングウェイ他も候補として考えられました。最終的に起用されたジョディ・フォスターは第4選択でしたが、選考当時24歳の彼女ではセクシーさが不十分と感じていたと、後日、プロデューサーがインタビューで語っています。撮影終了後、試写を見たジョディ・フォスターは自分の演技が嫌になり、女優のキャリアを捨てて大学に戻る準備を始めました。演技が評価されアカデミー主演女優賞を受賞しなければ、現在のジョディ・フォスターはなかったかもしれません。

 

女性検事補キャサリン・マーフィーを演じたケリー・マクギリスは、トム・クルーズ主演の世界的大ヒット作「トップ・ガン」でトム・クルーズの恋人役の民間の軍事コンサルタントを演じた女優さんですが、女性検事補役もうまくこなしています。ケリー・マクギリスも被害者サラ役のオッファーを受けたのですが、彼女自身、1982年に彼女の部屋に押し入った二人の男に性的暴行を受けた経験があることから、サラ役を辞退し女性検事補役としてこの問題と戦うことを選択しました。彼女は公開時26歳でした。ちなみに、検事補役はジェーン・フォンダサラ・ジェシカ・パーカー、ミッシェル・ファイファー、デブラ・ウィンガー他にもオッファーされましたが、すべて辞退となりました。

 

最終的にジョディ・フォスターとケリー・マクギリスがレイプと戦う女性を演じたわけですが、1980年代のアメリカでこのような役を演じるのは大変なことだったのではないかと思います。奇しくもケリー・マクギリスは2009年に、ジョディ・フォスターは2013年に、同性愛者であることをカミング・アウトしています。ジェンダーに関する先進的な問題意識があったからこそ、二人はこの役を演じ通す事が出来たのかもしれません。

 

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