夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「シェルタリング・スカイ」:北アフリカの美しさと日常の脆さ

シェルタリング・スカイ」は1990年公開のイギリス映画です。主演は、ジョン・マルコヴィッチ、デボラ・ウィンガー。ポール・ボウルズの小説『極地の空』をベースにした映画で、北アフリカを訪れた倦怠期のアメリカ人夫婦が過酷な運命に弄ばれる様を描いた佳作です。

 

 シェルタリング・スカイのDVD(楽天市場

 

会話が意味深で、また北アフリカの風景と音楽も美しく、思わず引き込まれてしまいますが、厳しい自然と異文化の中で人間存在の儚さ・脆さを感じさせるなど、深いものがあります。タイトルの「シェルタリング・スカイ」は、「その向こうにある暗い虚無から守ってくれる空」という意味ですが、二人は水道さえない地域に足を踏み込み、厳しい自然と異文化の中をさまようことになります。

 

原作の作者ボウルズは、語り部として映画にも出ており、最後に次のように語っています。

 

Because we don't know when we will die, we get to think of life as an inexhaustible well, yet everything happens only a certain number of times, and a very small number, really. How many more times will you remember a certain afternoon of your childhood, some afternoon that's so deeply a part of your being that you can't even conceive of your life without it? Perhaps four or five times more, perhaps not even that. How many more times will you watch the full moon rise? Perhaps twenty. And yet it all seems limitless.

(訳)自分が何時死ぬかを知らないから、私たちは人生を枯れることのない井戸のように考えるようになる。しかしながら、何事もできる回数は有限であり、実際のところ、その回数はとても小さいものだ。幼い頃の昼下がりをあと何回、思い出すだろうか?それなしには自分の人生を考えられないほど深く自分の一部になっている、そんな昼下がりをだ。恐らく、四、五回、いや、それほど多くないかもしれない。のぼる満月を見るのは、あと何回だろうか? 恐らく二十回くらいだろう。それにもかかわらず、限りがないように思っている。

 

自然であれ、人であれ、素晴らしい出会いなんて、限りある人生に何度もあるものではないかもしれませんね。

 

ジョン・マルコヴィッチは評価の高い出演作が多いのですが、「マルコヴィッチの穴」や「REDリターンズ」でのコミカルな演技にも捨てがたいものがあります。

 

シェルリング・スカイの原作本

  Paul Bowles 'The Sheltering Sky'(楽天市場

 

ジョン・マルコヴィッチの出演作

  「ザ・シークレット・サービス」のDVD(楽天市場

  「マルコヴィッチの穴」のDVD(楽天市場

  「バーン・アフター・リーディング」のDVD(楽天市場

  「RED/レッド」のDVD(楽天市場

  「REDリターンズ」のDVD(楽天市場