夢は洋画をかけ廻る

洋画のレビューや解釈、解説、感想、撮影地、関連作品などを掲載しています。タイトルは、松尾芭蕉最後の句と言われる「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」由来です。病に伏してなお、夢が枯野をかけ廻るとは根っからの旅人だったのですね。映画はちょっとだけ他人の人生を生きてみる、いわば人生の旅のようなもの。願わくば、芭蕉のような旅の達人になりたいものです。

「炎のランナー」:心に希望を、踵に翼を

1924年のパリ・オリンピックに臨んだ二人の英国青年。「炎のランナー」は、敬虔なキリスト教宣教師と偏見と戦うユダヤ教徒を描く、1981年公開のイギリス映画です。実話に基づくこの映画、性格も動機も異なる二人の青年の不屈の戦い方が見事です。

 

 「炎のランナー」のDVD(楽天市場

 iTunesで観る*1

 

冒頭でランナー達が砂浜を走るシーンは、ゴルフで有名なイギリスのセント・アンドリュースのウェスト・サンドで撮影されました。

 現在のウェスト・サンド近辺→Google マップ - 地図検索

 

このシーンのバックに流れる壮大で美しい曲は、ヴァンゲリスの「タイトルズ」*2です。2012年に開催されたロンドン・オリンピックのオープニング・セレモニーでは、「ミスター・ビーン」のローワン・アトキンソンとオーケストラのパフォーマンスが上演されました。ウェスト・サンドの砂浜を走るシーンのパロディも上映されており、笑えます。

 

www.youtube.com

 

映画の原題は、「Chariots of Fire」で、18世紀イギリスの詩人ウィリアム・ブレイクの預言詩の一節、

 

Bring me my Bow of burning gold: ぼくの燃える黄金の弓を

Bring me my Arrows of desire: 希望の矢を

Bring me my Spear: O clouds unfold! 槍を ぼくに ああ 立ちこめる雲よ 消えろ

Bring me my Chariot of fire! 炎の戦車を ぼくに与えてくれ

 

I will not cease from Mental Fight, 精神の闘いから ぼくは一歩も引く気はない

Nor shall my Sword sleep in my hand, この剣をぼくの手のなかで眠らせてもおかない

 

に由来しています。この詩には、同じくイギリスの作曲家パリーが第一次世界大戦中に曲をつけています。国難に際して国威を発揚させる為と言われていますが、この詩は権威や権力に屈することのない自由な精神活動を続けていくことの決意宣言でもあり、ロンドンの夏の風物詩であるコンサート・シリーズ「プロムス」最終夜に必ず演奏されます。リンク先は2012年にロイヤル・アルバート・ホールで収録されたものですが、この一体感はちょっとうらやましいですね。

 

www.youtube.com

 

映画でもラストに聖歌隊の合唱が入りますが、イギリス人にとっては誇らしい映画であることは間違いないでしょう。但し、映画の中には体制に反発するシーンもあり、むしろ世界的に評価されているのは愛国心ではなく、二人の青年の不屈の闘志ではないかと思います。本作品は、1981年度のアカデミー賞で作品賞、衣装デザイン賞、脚本賞、作曲賞を受賞しています。リンク先でサウンドトラックを視聴できます。

 

 「炎のランナー」のサウンドトラックCD(楽天

*1:本文に戻る

炎のランナー (字幕版)

炎のランナー (字幕版)

 

*2:本文に戻る

映画『炎のランナー』テーマ - Single

映画『炎のランナー』テーマ - Single

  • Mark Ayres
  • サウンドトラック
  • ¥150